かじさんのつれづれなるままに

映画や読書 スポーツ(相撲)についてぼちぼち書き込むブログです

あなたの知らないゴッホ

ゴッホ
Vincent Van Goghといえば・・・

ゴッホをテーマにした映画を見たことがあるけれど、
アルルでゴーギャンと共同生活をしたもののうまくいかず、
結局ゴッホは耳を切り落としたり、しまいには自殺したり、
強烈だけどよく分からないという印象しか残りませんでした。
そのゴッホとは全く違うゴッホ像が
『さよなら ソルシエ』には描かれていました。

主人公はビンセントの弟のテオなんですが、
ここに出てくるビンセントお兄ちゃんといえば、
絵の才能はあるのだけれど、
自分の絵を売ろうなどとはつゆも思わず、
自分の才能を世に知らしめようとも思っていない、
いつもニコニコ笑っている無垢な魂の持主です。

弟のテオは画商に勤めています。
当時、絵画といえば一部の上流階級のための高尚なものでしたが、
テオはそんなお高くとまった芸術をぶち壊して
市民のための新しい芸術を世に広めようとします。
画商といえば権威の側にいる立場なのに、
堂々と権威に逆らうようなまねをします。
テオのやり方は奇抜で予想もできなくて、
まさに「魔術師(ソルシエ)」のようです。
当然、アカデミーから目をつけられ大変なことになります。

テオが一番世間に知らしめたかったのは、
兄の絵でした。

兄の才能には惚れこんでいましたが、
世に出ようとしない兄に対して苛立ちを感じています。
兄のことは大好き、でも同時に怒りも感じる、
相反する感情を抱えながらテオとビンセントの運命は
大きく動いていきます。
テオの葛藤がすごいです。
 
こんなゴッホ像があったなんて・・・。

『さよなら ソルシエ』
穂積 著 小学館 全2巻