かじさんのつれづれなるままに

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それから

『それから』  夏目漱石
 
 
大助は父が勧めるお見合いをいつも断ってきました。
彼には好きな人がいたのでございます。
三千代さんです。
しかし、三千代さんは友人、平岡の妻でございます。
大助と三千代さんはお互いに好いておりましたが、
大助が平岡と三千代さんの仲を取り持ったのでございます。
久しぶりに三千代さんと再会して、二人の距離はまた縮まりました。
ところが、大助はまた縁談を勧められ、
どうにもならなくなってきました。
そしてついに決心しました。
縁談は断ろう。
そして平岡に全てを打ち明けて三千代さんと一緒になろう。
 
大助と三千代さんはずいぶん長い間両思いでしたが、
これは世間から見ると不倫ということになるのでしょうか?
実際には何もしておりませんが。
大助は父が怒ろうが、社会を敵にまわそうが、この愛を貫く
と決心したのでございます。
決心は雄々しいのですがね・・・。
 
この大助という男は30にもなって今まで一度も仕事というものをしたことがございません。
父からもらうお金で毎日ぶらぶらし、
本を読んで知的思考をめぐらし、芝居なんかを見る生活です。
父から勧められたお見合いを断わって父を怒らせ、
「もうお前なんかの世話はせん!」
と縁を切られたら、たちまち生活する手段がなくなるわけです。
 
水木しげるさんのように腕一本で稼いで、
どんな貧乏にも耐えるような男なら
頼りがいもあるでしょう。
しかし、大助のように仕事をしたこともなく、
どうやって職を探したらいいのか、
何の仕事をしたらいいのかもわからないような男と一緒になったら
大変ですよ、三千代さん。

三千代さんは貧乏も漂流も覚悟しているとおっしゃいますが、
実際に大助と暮らしてみて、大助が何もできない男だと分かったら
愛もいっきに冷めるのではないのでしょうか?
 
しかし、百合の花を部屋に飾って告白するシーンは美しいです