かじさんのつれづれなるままに

映画や読書 スポーツ(相撲)についてぼちぼち書き込むブログです

幸福

幸福
65年 フランス


タイトルの通り、幸せいっぱいの若い夫婦が主人公です。
日曜日は森でピクニックをします。
小さい二人の子どもはお昼寝です。
(お昼寝用の蚊帳のようなものもあります。)
夫 フランソワは木陰で寝そべり、
その傍らに妻 テレーズが寄り添います。
結婚してまだ1~2年、幸せいっぱいの家族です。
映画はその幸せいっぱいの家族の日常を描きます。
幸せな家族の日常をえんえんと描くなんてドラマにならないと
思ったのですが、
この家族は実に幸せそうで
見ていて感じがいいです。
この家族のこじんまりとした家や内装も、
現代からみるとかえってレトロでおしゃれな感じです。
ナチュラルな暮らしのお手本になるかもしれません。)
アイロンのきりふきもないし、ベッドも狭いし、
洗面所も狭いです。
かなり不便に見えますが、この幸せそうな家族をみると、
そんな不便が何だという気がします。

さて、熱々カップルの二人ですが、
ただ幸せだけで終わるわけがありません。
ある日フランソワは仕事の出先でエミリという女性に出会います。
そしてあれあれという間に二人は親密になっていきます。

ええー!?

しかも、フランソワはエミリと関係を持ちながら、
妻とも依然として熱々の仲です。
妻にはもちろん黙っています。
フランソワは浮気をしているはずなのに、
全く悪びれる様子がありません。
妻を裏切っているという罪悪感もなさそうです。
「二人を愛している。僕は幸せだ」とフランソワは
実に幸せそうに二股かけています。

どうなっているんだこりゃ・・・
少しは良心の呵責はないのか!?と問うのもあほらしいくらい
フランソワは家では妻を大切にし、
エミリとも愛し合っています。
あまりにもあっけらかんと明るく幸せなので、
フランソワが悪い男に見えません。
(でもちょっと都合がよすぎない?)

はっと気がつきました。

もしや光源氏ってこんな男だったのでは!?

フランソワは愛する女性が二人もいて二倍幸せです。
エミリも愛しているし、それでうれしくて
ますます妻にもやさしくします。
どちらも同じくらい大切に愛しているのです。
これってやはり光源氏のようです。

エミリは愛人という立場で満足していて、
妻の座を狙ってはいません。
この二人はいいとして、何も知らない妻がどうなるのかは
大変気になるところです。

この作品はバックにモーツァルトの軽やかな音楽が流れていて、
修羅場がきそうな気配がありません。

結局フランソワにとって都合がいいだけだったのではないでしょうか。