かじさんのつれづれなるままに

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22XX

印象に残る一言。


「人肉を食べる私達は野蛮か?
じゃあおまえ達は何故食べもしないのに人を殺す?」

『22XX』 清水玲子 白泉社

フォトゥリス人は、白鳥座11番惑星「メヌエット」の密林地帯に住んでいる。
野生動物のごとく狩りをし、人肉を食べる。
メヌエットではフォトゥリス人が食べるために殺すことは許されている。)

人肉を食べる民族と聞くと、単純に野蛮だと思ってしまいます。
しかし、民族にはそれぞれの習慣、考え方、信仰があって、
彼らにとっては理屈が通っていることです。
フォトゥリス人は人肉だけではなく、狩りをして動物も食べます。
そして、食事の前とあとに長い祈りを捧げる。
彼等にとって食事は一番神聖な「儀式」なのだ。

(引用)

フォトゥリス人にとっては人肉を食べることは一番神聖なことだそうです。
人肉を食べることによってその人の知識・理想・美点を
自分のものにすることができるからです。
人が死んでも、その肉を食べた人がその命を受け継ぎ、
理想や目的を達成する、とフォトゥリス人は考えます。
それは人だけでなく動物を食べるときも同じで、
フォトゥリス人が鳥のヒナを食べるとき、小動物を食べるときも、
食べられる命を受け継ぐために、長い祈りを捧げます。
だから人肉を食べるときは、一番長い祈りを捧げるそうです。

そうして命は重なる度にどんどん美しく浄化されていく
人に食べられることは恐ろしいことでも何でもなく
光栄なことだ

(引用)

逆に、フォトゥリス人にとって最も恐ろしく悲しいことは、
誰にも食べられずに死んでいくことなのだそうです。
誰にも食べられず、命が受け継がれず、
その人の魂はそこで朽ち果てるのです。

フォトゥリス人のルビィは、
愛するジャックに自分の左手を食料として与えました。
愛する人に自分を食べさせて相手を生きさせるのは、
彼らにとっては愛を示すことなのです。
(逆に、愛する相手を食べて自分に同化させるのも、
彼らにとっては愛を示すことになります。)

彼らが「食べること」に対して真剣であることを考えると、
私の「食事」に対する態度はちゃらんぽらんだと思いました。
これからは食べ物に対してもったいないことをしないようにしよう、
と心がけてはいるけれど、まだまだです。