かじさんのつれづれなるままに

映画や読書 スポーツ(相撲)についてぼちぼち書き込むブログです

嘘はいやなんですが・・・『花とアリス』

花とアリス
2004年 日本

高校1年生の花ちゃんとアリスちゃんの
少し変わった恋と友情を、
過剰な演出なしに静かに描いた作品でした。

何が少し変わっているのかというと、
突拍子もない嘘から花ちゃんと宮本先輩のつきあいが始まることです。

最初の嘘はあまりにも突拍子もないものでした。
花ちゃんは宮本先輩を慕っていました。
中学生の頃から電車通学でいつも目にしていたのです。
ある日、宮本先輩が倒れて意識もうろうとしているところで、
「先輩、私のことを忘れちゃったんですか!?
私のこと好きだって言ったことも・・・?」
と花ちゃんが言います。
宮本先輩はどうしても思い出せません。
(当然です。花ちゃんの作り話ですから。)
そして、宮本先輩は一部記憶喪失になっている、
ということにして、なんだかよく分からないまま
宮本先輩は花ちゃんとつきあうことになりました。
そんな作り話をよく言ってのけるものです。
それを信じる宮本先輩も相当にぼーっとした人です。

そのぶっとんだ嘘がばれそうになったときに、
さらに花ちゃんは嘘を重ねます。
「宮本先輩は以前はアリスとつきあっていたけれど、
彼女を振って私に告白した」という作り話です。

嘘がばれそうになった時点で、
「ごめん、全部うそだったんです」と明かして謝ればいいのに。
さらにめちゃくちゃな嘘をついたので
私は少しイヤになりました。

作品が悪いというわけではありません。
この作品は主人公の花ちゃんが嘘をつくことによって
展開するし、その嘘が突拍子もないので、
そこがこの作品の面白さになっているのです。
そういうものだとしてさらっと流して見ればいいのに、
私にはなんとなく受け入れがたかったのでした。
映画を見ているときに私がご機嫌ななめだったせいなのかもしれません。

謝ろうとする態度がなく、自分は悪くないとでもいうように
事実をぼかして嘘をごまかす、
あくまで嘘を強引に通そうとする
そういう花ちゃんの態度に、ああ、イライラ。。。

花ちゃんがアリスちゃんを巻き込んだことで、
物語は妙な三角関係に発展します。
アリスちゃんはなんだかわけが分からないまま、
花ちゃんの「作り話」に話を合わせます。
話を合わせるのはいいのですが、
元彼女のお芝居をして
「まーくん(宮本先輩のこと)、ここ覚えてる?
初めてデートした場所だよ」
なんてどんどん話を作っていくのでした。
(いいのか・・・?)
宮本先輩は覚えているはずはありません。
でもアリスちゃんといるとなんだか楽しい。
花ちゃんの嘘からアリスちゃんの作り話も加わって、
いつしか本当に恋が芽生えてくるのでした。
そのあたりの展開は面白いです。

花ちゃんの嘘は気に入りませんが、
よく考えると宮本先輩は、花ちゃんの強引な嘘がなければ
「彼女とつきあう」という青春がなさそうな人です。
相当ぼんやりした人ですから。
(花ちゃん、宮本先輩のどこがいいんですか????)
彼は嘘に振り回されてかわいそう・・・と思っていましたが
花ちゃんやアリスちゃんとデートできたので、
案外楽しかったかもしれません。
(花ちゃんとデートして楽しかったかどうかは分からないけれど。)