かじさんのつれづれなるままに

映画や読書 スポーツ(相撲)についてぼちぼち書き込むブログです

ガッジョディーロ

本日は映画の話です。

映画で見る、ロマの世界。

ガッジョディーロ 
GADJO DILO

(97年 フランス・ルーマニア )      

ステファンというフランス人が、ロマの歌手 ノラ・ロルカを探して
ロマのいる村にやってくるというお話。
ある晩、ステファンは酔っ払った老人イジドールと出会って、
それが縁で彼の家に泊めてもらうことになります。
イジドールの住む村では、ステファンがやってきたために大騒ぎになります。
「よそ者だ。」「泥棒にちがいない。」「追い出せ。」というムチャクチャな反応です。
(よそ者ってだけで、なんでそこまで・・・?)
そのムチャクチャさはその後ずっと続きます。
ステファンを泊めてくれたイジドールという老人からして、
なんだかムチャクチャな人でしたし。

ステファンの体験を通してロマの生活が少しずつ分かってくるのが
面白いです。。
分かってくるというか、「そういう習慣なのか!」と驚きます。 
たとえば結婚式はこんな具合です。
 
婿が楽士を連れて音楽を奏でながら花嫁の家に行きます。
すると花嫁の父は「お前なんかに娘はやらん!帰れ!帰らんと殺すぞ!」
と戸口で怒鳴ります。
ええっ!? 何で? と思って見ていると、
婿が父に酒のビンを差し出します。
二人は順にその酒を飲みます。
そして花嫁の父が結婚を承諾します。
つまり父が怒鳴るのが結婚のしきたりだったわけです。
こういう風に、いったん結婚の申し出を拒絶するという風習は
たぶん世界各地にあるらしいですね。
でも、知らずに見ると驚きます。 
他にも、ロマの社会では男性が掃除をするのは
恥とみなされるらしいです。
(ゲイだと思われるかららしい。)

心惹かれるのは、彼らにいつも歌があることです。
友人の葬式のときに、彼らがお墓の隣で弔いの歌と踊りをするシーンがあります。
 
  どうしてお前は死んでしまったのか
  どうしてお前は死んでしまったのか

そう歌いながら踊るのです。
悲しみがいっそう募るような歌声が響きます。
いや、むしろこれで悲しみを解き放つのかもしれません。

ロマの人々の底抜けの明るさ、面白さ、喜びと悲しみ。
そして風通しのよさ。
慣れるまでは振り回されるけれど、味わいのある人々でした。