かじさんのつれづれなるままに

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山の郵便配達

山の郵便配達
那山 那人 那狗

1999年 中国
                       

風景が美しいです。
この美しい風景をいつまでも眺めていたい気分になります。
主人公たちの歩く山道は緑が生い茂って美しいのです。
トレッキングしてみたいなぁ・・・。
しかし、郵便配達の仕事となると、この山道はきついです。
重い荷物を背負って223キロ、3日間の行程です。
相当にきついです。

父はまだ40代ですが、足を痛めてしまい郵便配達の仕事を引退することになりました。
息子が後を引き継ぎます。
息子が初めて郵便配達に出かける日、父も一緒にいくことにします。
父にとってはこれが最後の配達で、息子に仕事を引き継ぐためでもあります。

この父子はなんとなくよそよそしい感じがします。
というのも、息子は父とどう接していいのか分からないのです。
父は配達の仕事でほとんど家を留守にしていました。
だから息子は父にどういう態度をとったらいいのか分かりません。
なんとなく父が怖いような気がするのかもしれません。
嫌いなわけではないけれど、父と息子はお互いどううちとけていいのか分かりません。
それで息子は父に話し掛けるときに「あなた」と呼びます。
(字幕ではそう訳していました。)

ほとんど家にいなかった父とこんなに長い時間一緒にいるのは初めてだったことでしょう。
何を話していいのか分からず無言で歩きます。
山道を歩くコツや郵便物の扱い方を父は教えてくれます。
行く先々の村々で「これからは、せがれが配達に来ます」
と挨拶してまわります。

3日間歩いているうちに次第に二人の距離も縮まっていきます。
そしていつしか息子は「父さん」と呼びかけるようになります。
昔は小さな息子を父が肩車してかついでやったものです。
そして今は大きく成長した息子が父を背負って河をわたります。
時の流れや、父から子に受け継がれるものなど、さまざまな思いを感じさせます。

父と息子の交流だけでなく、村人との交流も描かれます。
ささやかなエピソードですが、しみじみとします。