かじさんのつれづれなるままに

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師匠と弟子 『ファン・ジニ』の感想3

チャングムの誓い』ではチャングムの師匠である
ハン尚宮と弟子であるチャングムとは
親子のような関係でした。
しかし、『ファン・ジニ』は違います。
師匠のペンムと弟子のミョンウォルは激しく反発しあっています。
ミョンウォルがペンムに反発するのは、ミョンウォルの初恋を
ペンムが引き裂いたからです。
しかしペンムはなにも意地悪をしてミョンウォルの恋をつぶしたわけではありません。
一人の男性と添い遂げられないのが妓生のさだめです。
報われない愛に苦しむミョンウォルの姿を見るのは
ペンムにはつらいのです。
ミョンウォルには類稀なる舞の才能があります。
できることなら自分の後をついで舞を極めて欲しいと
ペンムは思っています。
だからミョンウォルから「愛」をとり除こうとするのです。
舞の道、芸の道に専念してほしい、それがペンムの望みだと
思います。
しかし、ペンムの真意はミョンウォルに伝わりません。
ペンムも優しく説き伏せることはせず、
ミョンウォル冷たく厳しく当たります。
それで余計にミョンウォルは反発するけれど、
ペンムもあえて釈明しません。
わざわざミョンウォルに憎まれるような態度を取るので、
ますますミョンウォルは反発します。
憎まれてもいい、
誤解されたままでも構わない、ミョンウォルが舞を舞ってくれるなら
ペンムはそれでいいのです。
ペンムはミョンウォルに対して酷い仕打ちをしたし、厳しかったです。
でも、ペンムはただの高慢で自惚れやの冷酷な人ではありません。
芸に対する態度は真剣で、妓生として芸に誇りを持って生きています。
ミョンウォルだって、芸に対する態度は真剣です。
多分二人はとても似ているのです。
ペンムが芸と妓生を大切に思っているのは
ミョンウォルにも分かっています。
(ペンムに対する憎しみはあっても。)
この二人が反発せずに理解しあえたらいいのに。
こじれた心情はなかなか修復できません。
なんせ二人ともとても意地っ張りなので。