かじさんのつれづれなるままに

映画や読書 スポーツ(相撲)についてぼちぼち書き込むブログです

妓生はつらいよ 『ファン・ジニ』の感想2

ファン・ジニ両班階級の若様と親しくなります。
ところが、二人の仲を知って若様の母が逆上し、
妓生の教坊に怒鳴りこんできます。
妓生の分際で息子をたぶらかした!!
というわけです。

あのー・・・熱心に恋文を渡しにきたのは若様の方なんですが・・・。

なんて私がつっこんでも逆上した母は聞く耳も持たないでしょうね。
もちろん、たぶらかしたという仲ではなくて、
二人の恋は若くて純粋です。
でも世間から見ると妓生は「卑しい身分」で、
良家の子息からすれば虫けら同然、
戯れに遊ぶ程度の相手なのです。
「結婚前の息子を惑わした」という罪で
死罪にでもできる、それほどに妓生の身分は低いのです。

この時代には身分というのは
絶対に揺るがない価値観なんですね。
現代の私から見ると「身分が一体何なのさ?」
と思うのですが。
ファン・ジニの才能を見れば
申し分ないすばらしい女性
のはずなのに、身分が低いというだけで蔑まれるなんて・・・。
私には理不尽と思えることですが、
当時は何の疑問もなく身分差別があったのだと
しみじみ感じます。

ファン・ジニの母がどうして娘を妓生にしたくなかったのか、
それがだんだん分かってきます。
一人の男性と添い遂げられないし、
しかも身分差別を受けて侮辱されても逆らえません。

こんなに辛い身分であっても、妓生は懸命に
芸を修練し、生きていくのです。


丹田に悲しみをこめ
そしてゆっくり解き放て
無理に忘れようとするな
深く息を吸い
丹田へ送る
愛も一緒にそこにおさめるがよい
一人の男と添い遂げられぬのが妓生のさだめ
だがその想いを無理に消すことはない
熱い想いを内に秘め
悲しみを笑えるその日まで
舞い続けるのだ
喜びに微笑むのは妓生ではない
痛みと怒り その苦しみに微笑むことができてこそ
真の妓生


     (ドラマ『ファン・ジニ』より)