かじさんのつれづれなるままに

映画や読書 スポーツ(相撲)についてぼちぼち書き込むブログです

海よりもまだ深く

海よりもまだ深く」を見ました。

是枝監督作品です。
何の話か知らずに見はじめました。
話が進むにつれて主人公の情けなさが
どんどんあらわになってきます。

主人公の良太は小説家。
それだけでは食べていけないので
興信所で働く。
お金に困る生活らしい。
なのに興信所の仕事で入手したお金に手をつけて
競輪に行く。
よせばいいのに負けがこんで結局儲けはない。
妻とは離婚した。
月に一回子どもに会うことになっている。
毎月養育費を払う約束だが、
この様子ではろくに払っていない。
ちょっとした収入を得ても
すぐにギャンブルにつぎこんで
すっからかんになる。
そのお金をとっておけば養育費は払えるだろうに。
足りなくても誠意は見せられるだろう。
なのに良太は一円も払えない。
姉に借りたり、
年金生活の母を当てにする始末。
今回も養育費が払えないので
母のアパートへ行き、
こっそりへそくりを盗もうとしている。
(こんなだらしない男、私でも離婚する。)
 
台風の夜のシーンが印象的でした。
樹木希林扮する母親が
「なんで男は今を愛せないのかね」
と語ります。
男は
無くしたものを追いかけたり
叶わない夢を追いかけたりする。
 
幸せは何かを諦めないと得られないのかもしれません。
良太は
「なりたいものになれたかどうかじゃなくて、
なりたいものになろうという気持ちで生きてきたかが大事」
と語ります。
たしかに何かを目指して生きるのは大事なことだと思います。
でも、
「小説家を目指してる」
といっていつまでも中途半端な生き方をされたら
奥さんは困るでしょうね。
良太も何かを諦めなければいけないのではなかろうか。
 
それにしても、細部の描写が凝っている是枝監督。
台風の夜更けに
仏壇の線香立ての燃え残りの短い線香をつまみ出すシーンがあります。
そうそう、あの燃えかすはうっかりしてると溜まるのである。
それから、カルピスをグラスに入れて冷凍庫に入れて
凍らせていました。
スプーンでガリガリと削って食べるのですが、
昔こういうのをおやつにして食べていたような気がします。
あのグラスはもしやモロゾフのプリンの入れ物では?