かじさんのつれづれなるままに

映画や読書 スポーツ(相撲)についてぼちぼち書き込むブログです

いだてん

私たちの多くは、オリンピックでメダルを取らなかった選手に対しては関心がありません。
メディアもメダルを取った選手はいくらでも取り上げますが、
それ以外の選手はあまり取り扱いません。
スポーツを題材にしたドラマや映画では
苦しいトレーニングや試練を経て
主人公たちが優勝したりメダルを取ったりするのが
たいていクライマックスになります。
しかし、オリンピックでメダルを取らなかったアスリートを主人公にした場合、
どこをどう盛り上げてストーリーにするのでしょうか?
金栗四三が主人公と聞いても
「誰それ?オリンピックに初めて出た人?ふーん。でメダルは?」
という程度の反応になるのは当然でしょう。

アスリートは苦しいトレーニングを積んで、試練に耐えて
万全の態勢で大会に臨んでも
メダルを取れない人が大半です。
でも、その人たちにもドラマはあります。
最後に
メダルを取りましたー!
で終わる人なんかほんの一握りです。

もしメダルを取った人を主人公にしたとしても
宮藤官九郎さんは
メダルを取るシーンはクライマックスにせず
さらっと語って済ますのではなかろうか?
スウェーデンオリンピックの後、
金栗さんが世界記録を出したという華々しい成果については
宮藤さんは大々的に取り上げませんでした。
彼がじっくり描くのは別の部分なのです。

初めて日本人がオリンピックに参加した時
お金がなくて選手が自腹を切ったこと。
レーニングも選手のサポートも何もかも整っておらず
まるで勝ち目はなかったこと。
雪辱を果たすべくトレーニングに明け暮れるも
ベルリン大会は中止になったこと。
一番脂が乗っていてメダルが狙える時に
目標を奪われたこと。
多くのアスリートはこんな思いをしながら
競技を続けているのでしょう。
メダルが取れなくても挫折しても
人生は続いていきます。
金栗さんたちが味わった挫折があって、
日本のスポーツは前に進んできたのです。

当初の日本人は
オリンピックに参加するなどお金の無駄、
と批判されても仕方ない成績しか出せませんでした。
そんな状況でも50年先、100年先の日本のスポーツのために
奮闘する人たちがいました。
金栗四三嘉納治五郎や様々な人たちが
オリンピックの道を切り開いてくれたから
今の日本のスポーツの隆盛があるのではないでしょうか。

柔道や水泳で日本がメダルラッシュに沸くのを
金栗さんが見たら
何と思うだろうなあ。